生き残ってきた人達。prasthana SS25 立ち上がりについて。

prasthana co., ltd. 代表/デザイナーの武井です。

2月ですよ。
2025年がスタートして早くも1ヶ月、今年既に1/12の時間が経過したという事実。
もうね、驚愕を通り越して無ですねもはや。
なんだかここのところ、、いやけっこう暫く前から顕著なのですがね、
この「時間経過と自身の体感の乖離」については、最近誰と接してもかなりの高確率で話題に挙がるほどでして。
ということは、僕だけではないのか。
いやだがしかし、或いは、、
このJOURNALでも最早お馴染みとなっているこの現象に対する考察。
明らかに加齢とともに益々スピード感を増しているような気がします。
皆様どうですか、昔はそんなでもなかったと思う、、ということは若い人ってそうでもないの?
これはきっと解き明かされることのない永遠の謎の一つなんだろう。
まぁ兎に角そんな感じで、相変わらず過ごしております。

で、これも言ってしまうと平常運転ではありますが、この凄まじいスピードで過ぎ去っていく日々の渦中においても、当たり前ですけどまぁまぁ色々と活動はしておりまして、最近でいうと新たな取り組みに向けて「弾丸MTG at 神戸」がありました。

文字通り弾丸、急遽決まった打ち合わせだったので当然の如く日帰り。
「この人にしかできない仕事」をされている職人のアトリエに突撃、否色々と相談してきました。
自分で事業を始めてからというもの、営業やら工場視察やら多岐に渡る用件で全国様々な場所を訪問してきましたが、思い返すと神戸ってこれまで縁のなかった土地でした。
ここへきて祝!初神戸となったわけなのですが、滞在正味5時間くらい? MTGしてちょっと滝を見て(新神戸駅の至近に立派な滝があります。)辛うじて事前に目星をつけていた定食屋さんでご飯だけさらっと食べて帰る、という旅程。
往復7時間くらい要するのでね、その時間とか労力とか腰への負担とか、そういった観点からすると非常に勿体無い動き方をしてしまったという後悔に似た念は否めず、つくづく自分は遊びのない男だな、などと狼狽しながら、肝心のお話し自体は極めて実りあるものになりました。
目的はバッチリ達成したのでまぁ良しとしよう。
渾身の企画をそう遠くない未来、お披露目できるかと思いますので是非ご期待下さい。

件の神戸の職人さん、活動歴やその佇まい、共通の知人なんかも多かったりして、イメージから推察するになんとなく近い年代なのでは、、?という感覚は得ていたのですが、蓋を開けてみると、というかお話をしていく中で同学年であることが判明しました。
最近奇しくも同世代、更に学生だったらクラスメイトだった可能性あります、といったレベルで年代が一致するクリエイターや職人との接点がなんかちょっと増えていまして、妙に親しみを感じる場面に多々遭遇しています。
身近なところだとiolomの坂本さんとか、僕が絶大な信頼を寄せているレザーアルチザンの池永さんとか。
育った土地も環境も違いますが、共通の時間、その時々の空気感とか匂いみたいなものを感じながら過ごして今に至る彼らとは、言外で通じ合える部分も多いと思うし、話も早い、ということは、何より見据えるビジョンにも極めてズレが発生しずらいと感じます。

我々の世代で現在進行で事業を継続している人達、言い方を少し変えると「生き残ってきた人達」は、多くの場合(起業後)10年超のキャリアとなります。
「ブランド」なんて言ってしまうと誰でも簡単に名乗れてしまう時代。
情報も溢れていますので、何か些細なことでもきっかけさえあれば、スタートを切ること自体はけっこう簡単だと思いますが、「継続すること」これが難しい。

前にも言ったことあるかもですが、生地背景、裁断場や縫製現場などを包括した生産背景各所、我々のようなブランド、それを仕入れ販売されるリテーラー、最終的にその服を手に取って頂くお客様方。
ただ生きていくためだけに必要な衣服なんていくらでも安価に手に入る現代、僕達のようなブランドが続けているこのような営みに、自身の意思で少しでも接点を持っている方々は、立場は各々でも僕は「同志」であると思っています。

そのものの真価は、発信側と受信側の相互コミュニケーションによって成り立つもの。
僕は昔、デザイナーが殊更に自身の創作に言及することに懐疑的でした。
多くの場面で言われる「服が語る」ってやつ。
その様をクールだと思っていたし、今でも適正によってはそのようなスタンスが良い場合もあるかとは思いますが、こと自身のアティチュードとしては今は全く真逆の価値観となりました。
言語によるコミュニケーションは人間のみに与えられた術です。
であれば、言葉を尽くして相手に伝えるという行為を疎かにしてはいけないんじゃないかと。
そもそも、自身の創作を丸投げして「服が語るから。理解してね。」って、それはそれでかなりエゴイスティックな姿勢じゃない?と今は思います。
解釈は勿論人それぞれで良いと思いますが、理解を支える材料を提示すること、これも作り手の責務であると僕は考えています。
「アーティスト」と「デザイナー」って似て非なるものです。

そんなふうに、自分なりの美学と方法論を持って「同志」を増やしていくこと。
「同志」を増やすとは、すなわち文化を絶やさないための手段たり得るわけです。
その最中、「生き残ってきた人達」と協調できるところでは存分に協調することで、日々蓄積していく自身の知見や技術はもとより、物作りに臨む態勢がどんどん強固なものになっている感覚を持てていることは、活動歴10年という節目を迎えた今、何にも変え難い有難いことです。

「ルーキー」という免罪符はとうの昔に使えなくなりましたが、
「ベテラン」かと問われればそんな段階ではまだない。
ということは、「中堅」? 「中年」?
まぁそんなような立ち位置に気付いたらなっていました。
要するに「脂が乗っている時期」であります。
振ってもらったら自分けっこう良い仕事しますからね、今後とも宜しくお願いします。

さあ今回の本題
2月8日(土) prasthana SS25 立ち上がりとなります。

ここ数シーズン、prasthanaの創作において特に顕著な傾向として、最終行程を僕自身が製品に施す、という領域を意識的に広げています。
「手仕事の痕跡」なんて言うと甚だ大袈裟だけど、なんというか、「大量生産されたものには宿り得ないなにか」を付加したいと思ってやっているわけなのですが、まぁこれがですね、けっこう大変です笑
サンプル1pcsとかだったら、少しくらい入り組んだことでもわりとスッとできてしまうものですが、いかんせん製品となるとそうはいかない。
この時期なんで来客もそう多くないだろう、と高を括り、店頭で作業をしていると、そんな時に限ってお客さまがいらっしゃり→気まずい→というか申し訳ない、、みたいなストーリーを経て、1stデリバリー品番を完成させました笑(ご不便をおかけした方々、大変失礼致しました。)

今回のリリースは計7型となります。

 

LC2.5 作務衣 sling coat

 

LC2.5 袴 shorts

 

3L protection buckle blazer

 

3L utility buckle vest

 

5panel jet cap [eVent FABRIC]

 

short cuff beanie

 

reggings

 

 

2/8(土)の立ち上がりのタイミングでECも更新予定ですので、各品番の詳細は該当のページをご確認下さい。
今回ローンチのプロダクト群は、SS25シーズン、prasthanaの提案するスタイルの一端を確実に表現するものとなっています。
まず強く打ち出したかった、ショーツ×レギンスの合わせ。
字面だけだとなんだか懐かしさすら感じるような印象を持たれるかもしれませんが、過去をトレースするわけではなく、あくまでも現在の感覚と符合するようにバランスを整えました。
暑いから、もしくは夏だからショーツ、ではなく、スタイルを形成する要素としてショーツを選ぶ、そんな思考(嗜好)を後押しすることができると思います。

全品番SSシーズンに適合するような機能性を有しながら、個の存在感も併せ持ったプロダクト群です。
あ、あと現状ECには未掲載予定ですが、直営限定の特別な素材を用いたアイテムも少量ですが作成しました。
この辺含め、是非店頭でお試し頂けると嬉しいです。

早いものでSS25。
脂の乗ったクリエイションを体感下さい。

宜しくお願い致します。