【PEI-002 SHELL】PRASTHANA EXTRA ISSUE 第二弾リリースについて

prasthana co., ltd. 代表/デザイナーの武井です。

怒涛の年末
否、怒涛の2024年。

毎年この時期になると、自身の体感と実際の時間の経過、その間にある著しい乖離に狼狽するのは最早恒例なのですが、それにしても今年はまぁ怒涛、大袈裟ではなく一瞬で一年が過ぎ去っていく、そんな感覚でいます。
年内のprasthana sendagaya store実店舗の営業は12/29(日)にて終了。
2024年内、prasthana co., ltd. としての発信はこの記事が最終となるかと思います。
本年も皆様大変お世話になりました。
無事に年を越すことができそうです。

「一瞬で過ぎ去っていった2024年」
体感は正しくそうなのですが、思い起こせば色々と、それはもう当たり前ですが様々なことがありました。
都度このJOURNALにて近況を綴っていますので、共有頂いている方々もいらっしゃるかとは思います。
ここで今年の出来事一つ一つを振り返ってみよう、なんてことはしませんが、まぁ、人並みに、、もしかすると平均より少し多い(?)かも、、というくらい、僕にとってタスクが多めな一年でした。

そんな個人の話はさておき、prasthanaの活動について。
近年のトピックとして、年に2回の展示会形式での発表をベースとしつつ、期中プロダクトの制作にも力を注いできました。
シーズン毎のコレクション制作とは、考え方とか取り組み方が大きく異なる物作りを本格的に始動することで、時間や労力といった代償を払い、新たな発見や楽しさ、喜びを得ることができた。
この期中の特別な企画の名称を
「PRASTHANA EXTRA ISSUE」と定めたのも2024年の話です。

prasthana co., ltd.は、来年で設立10年を迎えます。
そこそこ長い時間活動を続けていますので、10年前と比べると「物作り」と一口に言っても、それに向かうスタンスは大きく異なるものになっています。
当たり前と言えばそうなのですけどね。
黎明期はそれこそ、何かに突き動かされているかのように笑
実際は、何にも突き動かされてなんかいなかったのですが、「兎に角自分の表現を全うする!!」みたいな意気込み。
言わば「(初期)衝動的な創作」それこそが絶対的な正解と思ってやっていました。
そんな思考の延長線上で暫くの期間運営をしていましたが、ついここ3-4年ほどでしょうか、自分自身を取り巻く環境の変化などにも大いなる影響を受けて、マインドとともに「仕事」に臨む姿勢に変化が生まれました。

現在の僕の創作における考え方を言語化すると、
「プリミティブな衝動」を押しのけて、様々な観点から考察、自分なりに論理立てて企画を行う、
「ブランドとしての整合性」によりフォーカスした方向に舵を切るようになっています。
「初期衝動」の尊さは変わらず信じているのだけれど、なんというか、prasthanaとしての表現の芯みたいなものを、すべての創作の背骨にしっかりと通したい、そんな感覚。
「整合性」なんて言うと、「面白み」とか「チャレンジングな姿勢」と対極へ進んでいるように受け取られるかもしれませんが、その実は真逆です。

僕に訪れたマインドの変化とは
「洋服を生業とさせてもらっている現状への感謝」
これに端を発するもの。
極端な話
「明日(次の瞬間)何かが突然終わるかもしれない」
なんなら
「もしかしたら今日の帰り道で事故に遭って死ぬかもしれない」
そんな誰にとっても当たり前のことに、強烈に気付いたんですよね。
気付いた、というか気付かされた、目を向けざるを得ない状況になった、という表現の方が適切かもしれませんが、兎に角そんな出来事がここ数年で起きました。

このJOURNALでも何度か書いてきましたが
「諸行無常」ということ。

「今ある当たり前は次の瞬間には当たり前ではないかもしれない。」
それであればと。
幸運なことに自分が今やれている
「衣服に纏わる営み」をより深めていくこと、それこそが自分が向き合うべきテーマであろうと。
もう少し具体的に表現すると、ネガティブな妥協や、中途半端な仕事をしている暇なんて無いですよ、と。
そんなふうに自分のスタンスを見つめ直すと、その都度やり切ったつもりになっていた自身の仕事に、なんとまだまだ突き詰めるべき隙間が其処彼処にあることか、笑
スイッチが切り替わった、とかいうと如何にも安直な表現で嫌なのですが、この件に関してはズバリそんな感じ。

「衝動的な創作」とは思考のベクトルは180°異なり、一つの企画を煮詰めに煮詰める。
考察を繰り返し、持ち合わせた技術を注ぎ込んで、デザインという手段を用い、一着の服をつくる、というやり方。

例えるなら、映画とかでも登場したりしますが、幼少期からめっちゃ勉強していてやたら知能が高く、一見エリートに見えるんだけどそいつがサイコパスだった、みたいな。
或いは、明らかに破天荒なパンクキッズよりも、日夜技術を磨き続けているメタラーの方が実はやばい奴だった、みたいな笑。
共感を得難い比喩だったような気もしますが、そんなニュアンスに通じる、ある種の「緊張感」を纏った創造。
そしてそれを達成するために、prasthanaとしての表現を突き詰めるという意味において「整合性」を追求するという姿勢。
そのようなプロセスを経て完成した衣服には
「衝動を超える強さ」すら宿り得ると信じるようになりました。

そして、取り組むべき創作の軸足がしっかりと定まっているからこそ、コストとか効率とかMD戦略etc.といった、
「純粋なクリエイティブ」のストッパーになり得る諸要素を完全に度外視で企画する
「PRASTHANA EXTRA ISSUE」での表現が、より先鋭性を伴った特別なものとしてそこに存在しながら、尚且つ絶妙な距離感での共存を実現している、と自己分析しています。

展示会ベースでコレクションを発表する
「prasthana」
期中で特別な作品を発表する
「PRASTHANA EXTRA ISSUE」
作り手として、今や双方欠かすことのできないもので、両輪が噛み合って回り出した感覚を、確かに得ることができました。

2024年はprasthana co., ltd.にとってそのような一年であった、と総括しています。
この二輪(二軸)はですね、非常に良いバランス、ならびに良いリズム、みたいなものをもたらしてくれる重要な要素となっています。
勿論、一朝一夕で出来上がるような創作をしているわけではありませんから、それに付随して相応の負荷は当たり前にかかるものですが、それらを勘案しても、この方針を推し進めて良かった、と思えています。

さあ、そんな感じで、最早年始の恒例となりつつありますが、特別な創作をお披露目したいと思います。

PRASTHANA EXTRA ISSUE 第二弾リリース
PEI-002 SHELL
2025年1月4日(土)より
prasthana sendagaya storeにてORDER MEETING(受注会)をスタートします。

 

 

オフィシャルのリリースを下記に添付します。

 

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PRASTHANA EXTRA ISSUE  PEI-002 SHELL
 
スイスに拠点を構える高機能生地メーカー、「Schoeller®︎(シェラー/ショーラー)社の2way stretch shape with Nanosphere®︎をメインマテリアルに、
世界最強の繊維「Dyneema®︎(ダイニーマ®︎=超高分子量ポリエチレン繊維)
サブマテリアルにそれぞれ採用し、比類なき価値を創造したシェルアウター。
PRASTHANA EXTRA ISSUE 第二弾リリース。
 
 
MATERIAL
Schoeller®︎ 2way stretch shape with Nanospehere®︎
高機能生地の世界的メーカー、スイスのschoeller®︎社のラインナップの中から
厳選して採用したファブリック。
透湿度:8000g/m3/24h、撥水度:10000mmという高スペックと共に、
2wayストレッチ性能も兼ね備えており、機能素材特有の硬さのない
優れた着用感をユーザーに提供する。
更にNanosphere®︎加工を施すことで、セルフクリーニング効果と極めて高い
レベルの
撥水/防汚性を実現している。
Nanosphere®︎は、ナノテクノロジーに基づく仕上げ技術で、ナノ粒子によって
構造化
された繊維表面変化をもたらす。
自然界で観察される特定の植物や昆虫が持つ非粘着性とセルフクリーニング効果を、繊維製品に応用することを可能とした技術。
このNanosphere®︎加工は、耐摩耗性にも優れ、頻繁な洗濯やクリーニングだけでなく、摩擦や引き裂きといった状況に瀕しても、生地上で永久的な効果を維持する。
 
・Dyneema®︎ Composite Fabric
世界最強の繊維とされる、Dyneema®︎(=超高分子量ポリエチレン繊維)
同重量比でスチール(鋼鉄)の約15倍の強度、比重1.0未満で水に浮くほど軽量。
撥水/防水性に加え、耐久性やUV耐性も備えており、革新的且つ大いなる可能性
に満ちたファイバー。
経年により深く刻まれるシュリンクの表情が、繊維の持つ機能/革新性とのギャップ
を生み出し、最先端素材ならではのフューチャリスティックな佇まいと機能、
そして相反する特別な表情を製品に付加する。
 
 
 
 
ABOUT PRASTHANA EXTRA ISSUE
prasthanaとして年に2回、SS及びAWで発表するインラインのコレクションと別軸で期中スポットアイテムとして製作する特別なプロダクトを
PRASTHANA EXTRA ISSUEの名称にて展開。
[EXTRA ISSUE=別冊]の意味合い通り、インラインにおける創作の限りではない、
言わばMD的観点度外視で企画を行う。
プロダクトは全て国内屈指の技術を持つ職人による手仕事で生産され、
デザイン偏重に
陥らない、衣服としての品質の高さも妥協なく追求する。
[和装] [TECH] [ARTISANAL] [BAUHAUS]
prasthanaの創作において軸となる4要素にフォーカスしつつ、希少なファブリックや専門性の高い仕様などを駆使し、インラインとは異なる価値創造を目指す。
展開範囲は自社直営ならびに限定した取扱店様のみとし、販売方法は
都度定めるが、
受注や数量限定生産を基本とする
「限られた時間/場所でしか手にできない特別なプロダクト」
 
PEI-002 DETAIL
 
DETACHABLE WRAP AROUND HOOD
Schoeller®︎Dyneema®︎2素材を二重で組み合わせた取り外し可能のフード。
首周り〜肩を覆う形状は、アンブレラヨークと同様の用途を成す。
 
EPAULET JACKET SLING/DURAFLEX SIMPLEX ALULA®︎ D RING PARTS
右肩に配したエポレットデザイン。
非着用時にジャケットスリングとして使用可能。
先端に米国に拠点を置くDURAFLEX社製のSIMPLEX ALULA®︎ D RINGパーツを付属。
 
FLEXIBLE HAND SHIELD
袖口に手の甲を覆う形状でパーツを配置。掌をテープに通して使用。
非使用時には袖口内部に収納可能。
 
CHEST COVER WITH POCKET
Schoeller®︎Dyneema®︎2素材を二重で組み合わせた左胸部を覆うチェストカバー。
AQUA GUARDファスナーを採用したフォンポケットを完備。
 
VENTILATION SYSTEM
サイドヘム〜アームにかけてAQUA GUARDファスナーによるベンチレーション
システムを配置。
逆開ファスナー採用によって、ベンチレーション機能に加え、サイドヘム側のみ開くことでスリットとしても機能するフレキシブルな使用が可能。
 
CUFF POCKET
両袖口にDyneema®︎使用の簡易的なポケットスペース。
 
BACK DARTS/ENSURE RANGE OF MOTION
背中心を横断するダーツ、脇下マチ、肘部アクションプリーツを配置、身体動作を
スムーズにサポート、可動域を確保する独自のパターン。
 
PIPING PROCESS ON THE BACK SIDE
裏面総パイピング始末。シームテープのように経年劣化が発生しない、且つ都市部におけるアクティビティ/着用に適合する仕様。
 
 
LABEL
PRASTHANA EXTRA ISSUE
 
PRODUCT NO
PEI-002
 
PRODUCT NAME
SHELL
 
CLOTHING COMPOSITION
MATERIAL_A : POLYESTER79% POLYURETHANE21%
MATERIAL_B : POLYETHYLENE100%
 
DELIVERY
2025.3-4
 
PRICE
¥ 154000 (tax inc.) 
 
 
prasthana co., ltd.
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概要はリリースをお読み頂くとして、
そもそもこの「PRASTHANA EXTRA ISSUE」ラインは、2022年始に企画した「GUIDI CAP」に端を発するものです。
その頃はまだ名称を定めておらず、
「インラインとは異なる特別なプロダクト」として、限られた時間、限られた販路で展開をしました。
その後も断続的に、年2回ほどのペースで発表を続け、2024年、これら期中の特別なプロダクトを
「PRASTHANA EXTRA ISSUE」(以下PEIと表記)として定義付け、今回の第二弾リリースに至っています。
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その製品像や生産背景、販売方法から果てはプライスに至るまで、展示会ベースのprasthanaとは大きく異なる佇まいに特化したアイテムを発表するからこそ、PEIとしての存在意義が見出せるわけなので、、まぁ気合入りまくりですよ笑
一切の妥協なく「作品」として後に残っていくような創造を目指し、そしてそれを達成することができていると思います。
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リリースにも記している通り、PEIに関しては販売方法なども都度定めるのですが、今回は数量限定受注生産という形を取らせて頂きます。
理由は様々あるのですが、商売的な側面から言うと、生地と生産背景が特殊すぎるため。
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まず生地ですが
Schoeller®︎にしてもDyneema®︎にしても、少しでもこのような分野に興味関心のある方でしたらすぐにピンとくると思いますが、シンプルに世界最高峰の素材を使っています。
これらは一般的に流通している生地と比較すると、使用の難易度(ハードル)が正直かなり高く、こちら側の目線で表現すると「極めて融通が利かない」です。
そして生産背景
PEIに関しては既存の背景と異なり、熟練の縫製士さんに生産をお任せする、という形式を今回から採ります。
所謂、量産工場における効率を重視した流れ作業ではなく、1人の職人が全ての工程を行う、ということ。
これ、あまり伝わり辛いかもしれないですが、まぁまぁ無いこと、非常にレアな取り組みなんです。
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今作PEI-002 SHELLは、過去最高に入り組んだ、非常に複雑な構造によって作り込まれたプロダクトです。
企画そのものがそもそも全く量産向きではなく、更に生地の特殊性も相まって、残念ながら大量生産は最初から諦めています笑
それならばいっそのこと、縫製士さんの縫える範囲内での数量限定生産とハナから言ってしまえ!!
そしてスペシャルな生地とスペシャルな縫製技術で、本当にスペシャルなものを少量でも創ればええやん!! と。
そんな感じでこの度の座組みが決まったわけです。
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PEI-002 SHELL ORDER MEETING日程は、下記の通りです。
・2024年12月31日(火) Amanojak.大晦日営業(先行お披露目)
・2025年1月4日(土)-1月13日(月祝) prasthana sendagaya store
・2025年1月(日程未定) Amanojak.北千住店
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prasthana直営展開に加え、有難いことに今回もAmanojak.さんに共催頂く運びとなります。
もうね、北千住方面には足を向けて寝られないです笑
(小山さん、年末の末まで大変お世話になりました、、笑)

長い時間と労力をかけて企画し、年末の末まで修正作業に奔走し、漸く創り上げた渾身の一着です。
一般的なSHELL OUTERの概念を軽く覆すだけのパワーを宿したつもりです。
この限られた機会を見逃さないよう、チェックしてみて下さい。
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そんなところですかね。
年末ならでは(?)の長文となりました。
お読み頂きありがとうございました。
今、2024年12月30日23:40頃
今年も残すところあと1日とちょっとです。
皆様良いお年をお迎え下さい。
そして2025年も変わらずお会いできることを楽しみにしています。
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宜しくお願い致します。