わが青春の裏原。prasthana AW24 last delについて。

prasthana co., ltd. 代表/デザイナーの武井です。

間髪入れず、JOURNAL更新しました。
前回から僅か1週間ほど(!)、最近は間隔的には1ヶ月に1記事どうにか、みたいなリズムが常態化していましたので、奇跡のような短サイクル(大袈裟)での更新となります。
と言いつつ、これはこれで立派な不定期投稿。
なかなか更新頻度が安定しないですが、題材さえあればやりますよってことで、まぁマイペースに頑張っていきたいところです。

知識レベルの所在、ということを最近よく考えます。
リテラシーというやつです。
けっこう過去にもこの旨の発信をしてきているので、馴染みのある方も居られるかもしれませんが、改めて個々人のベースって大切だなと思います。
兎に角現代は情報が早いですから、物事のなんとなくの概要とか、なんならディテールまでも多少なり、スマホさえあれば容易に手に入ります。
こんな状況は勿論大いにけっこう、技術の進歩たるや素晴らしいわけですが、その反面、生身の体感とか、しっかり芯を食った情報というものが置き去りになってしまっているようなケースを多々見かけます。

2000年代初頭、僕が19-20歳の頃に、かなり強烈にインスピレーションを受けたカルチャーがありました。
世界的なデザイナー諸氏にもその影響を公言する人がいるくらい、後にも先にもストリートレベルでこんなインパクトは起こり得ないのではないか、というようなとてつもなく大きな流れ、所謂裏原系と語られるムーブメントです。

当時、僕は高校を卒業してから、定職にも就かず、その日暮らしみたいなアルバイト生活の傍、音楽活動に邁進していました。
この辺は過去にも書いたことがありますが、それと並行してファッション、特にストリートファッションに強く傾倒していました。
自分の興味関心の領域内におけるファッションに対する熱量が、音楽のそれを超えたタイミングでアパレルの仕事を始めるわけなのですが、ちょうどこの頃ですね、まさにスポンジのように未知のことを吸収しまくっていた僕にとって、裏原宿にいた諸先輩方から受けた感覚というものは、今だに自分の中で一つの大きな指針として存在し続けています。

挙げ出せば本当キリがないのですが、例えばミリタリージャケットのエポーレットを切って着用することで反戦の意思を表す、とか(エポーレットの付属意図が戦場における使用を想定したものだから。)自身が傾倒する音楽からのインプットをスタイルにはめ込む、とか。
有名なところだとジョン・レノンがミリタリージャケットを着て、ベトナム戦争に対する反戦の意思表示をしたり、音楽だとREBEL MUSICという言葉がありますが、要するに大勢に対するカウンターですね。
こういった音楽、衣服、生活様式とかもひっくるめて、カルチャーが自分のスタンスとか主張を世の中に対して投げかける重要なツールになっていたような、そんな時代があったわけなんですが。

そんなような概念。
衣服を構成する要素の外からもインスピレーションを抽出して、それを自身のスタイルに落とし込む、ということをしていた人達が裏原宿には沢山いました。
彼らとの出会いは僕にとって、非常に大きな意味を今だに持ち続けています。
ただなんとなくかっこいい、とかそんなノリで衣服を選ぶ、というレベルから、自己を表現するツールとしての衣服の在り方、という思考に上昇させることができた。
もうね、ちょっとなんだろうな、ファッションが内包する価値が、自分の中で飛躍的に上がった瞬間だったんですよね。
(それによって面倒くさくなったのが、メッセージプリントが施されたTシャツとかが迂闊に着られなくなった、というのはありますが、笑
prasthanaがメッセージものを作成しないのも、これに起因していたりします。)
前述のミリタリージャケットの件にしても、受け手のリテラシーが足りていなければ「肩のパーツが欠損した古着でも買ったのかしらあの人。」だけでこの話って終わってしまう訳で、それだと、どうしたって文化は衰退していきますし、ある事象/事物の背景にあるストーリーなんかも宙ぶらりんになってしまいます。

そうそう、ちょっと話は逸れますが、最近個人的に気になってしまうのが「テーラード」という言葉と概念。
ズルズルに肩線を落としたルーズフィットのカジュアルジャケットを指して、「テーラードが気分です!」という発言をしている人をYouTubeで見かけて驚きました。
少々探ってみると、この人に限らず、ジャケット型=テーラード、という認識をしている人って思いの外多いようです。
テーラードって「Tailor」ですから、当たり前のこと言いますけど、ジャケット(型)のことではなく、仕立て(技術)を表す言葉です。
要するに職人仕事のこと。
なので、仕様は勿論、構造や作り方、使う芯地とか生産背景まで、カジュアルゾーンのそれとは全く異なるものなんです。
どちらが優れているという比較ではなくて、専門領域の違い、という話。
この辺、かなり一緒くたにされがちというか、曖昧なところではあるのですが。
そもそも僕の知識レベルで専門外であるテーラードのなんたるか、なんて充分に語れません、という前置きをした上で、とりあえずカジュアルジャケットとテーラードジャケットくらいは線引きして考えません?と思ってしまいます。
テーラーの職人から言わせれば、「そんな軽々しくテーラードなんて言ってくれるな。」ということ。これが本質ですよ。

これなんかはまさに情報がインスタントになり過ぎてしまっている故の弊害。
発信が容易になった昨今、自身の発言に責任意識を持った発信者なんて、そう多くはないと思います。
情報は際限なく、日々垂れ流され続けていますから、ちゃんと受手側が取捨選択して取りにいかないと駄目ですね。
そしてその取捨選択を行うにあたって、知識というツールは欠かせない訳です。
自分の興味関心がある分野だけでも、カバーしようとするとまぁ膨大な時間と労力を要しますから、視野を広げるとそれはもう果てしない。
そんなこんなで日々勉強だなと、そんな当たり前のことを改めて考えてみた、そんな2024年秋。

さて、だらだら書いていると延々と続いてしまいそうなので、ここらで本題いきたいと思います。
タイトルの通り、prasthana AW24 last del のご案内です。
先日の2nd del から一週間ほどしか経っていませんが、しっかりと生産進めておりました。
秋本番直前にして、このタイミングでAW24全ての品番が出揃います。
秋冬シーズンのハイライトと言える内容で、アウターを中心としたラインナップ。
下記ご確認下さい。

 

 

 LC1 robe coat

 

 

chillbuster sleeve less parka

 

 

 

mil fleece long parka

 

 

型数自体は多くないですが、スペシャルなインポートファブリックを使用したアイテムをはじめ、見応えのある、そして見所の多いプロダクト達となっているかと思います。
「form,function&idea」というブランドフィロソフィーとともに、prasthanaにおける創作の根底に据えている4要素
「和装」「TECH」「ARTISANAL」「BAUHAUS」
これらを最高濃度で煮詰めまくってアウトプットしたようなラインナップです。

ここ最近の、9月中旬とは思えないような気温に辟易としているのは、アパレルを生業としている我々のみではないと思いますが、どうやら今度こそ、週末以降は大分秋めくようです。というか秋よ来てくれいい加減。

取り急ぎ店頭にて9/20(金)より。
ECの方は追って更新致します。
今週末、世の中は2週連続で3連休のようです。
秋の3連休、良いですよね。
この機会に是非お出かけ下さい。

宜しくお願い致します。