prasthana AW23 available.

prasthana co., ltd. 代表/デザイナーの武井です。

我が事ながら凄い更新頻度で記事を書いています。
長らく超怠慢コンテンツだった当NEWSが何故こんな感じになっているのか、経緯は直近の記事で綴っているのでそちらお読み頂きたいですが、取り上げるべきテーマなんていついかなる時も数多あるものですね。
「忙しい」を理由にせずに、他の(必須)業務と同じ熱量で記事を書いていきたいと思っておりますので何卒お付き合い下さい。

で、まぁあれですね、すっかり秋ですね。
いきなり話題無いんかい!と言われそうですが、触れずにはいられないほど、今年も漸くしっかり秋が来ました。
今季AW23はなんと言うか、例年になくぬるっとスタートした感がありまして。
ぬるっと、と言うのも非常に抽象的な表現なのですが、スパッと、の反対です、ぬるっと。
要因は何か。
考察するとまずはだらだらと続いた暑さですね。
年々、気温のエッジ(めっちゃ暑いorめっちゃ寒い)が立ってきている感覚があるのは自身の加齢によるところも大きく影響しているのかもしれませんが、にしても「ずっとめっちゃ暑くない23Summer??」と、ここ最近まで、全人類がそう感じていたのではないでしょうか。
これによって、なかなか秋冬の衣服を選ぶテンションにならなかった。
これはですね、洋服屋としては死活問題ですが、本音を言うと正直わかります。
9月に入ってからもずっと、店頭で長袖物をぼんやり眺めているだけでもなんだかしんどかったですから。
言っても仕方ない、個人の努力でどうこうできる問題ではないですが、これが要因の一つめ。

あともう一つ、AW23立ち上がりのタイミングがバラバラだった事。
これは、昨今の様々な世の中の事情による影響が大きい。
端的に言うと「長く続く生産現場の混乱」に起因しています。
以前は海外で生産していたような企業の製品が、諸々の事情から日本国内にその拠点を移さざるを得なくなり、その需要の増加に対して「受け皿が足りていない」という状態が露呈、未だ現場は不安定なままです。
ネガティブな事はあんまり言いたくないですが、アパレル産業って俯瞰で見て活況とは言い難い状態が暫く続いています。
prasthanaはAW15シーズンに立ち上げたのですが、その時にも某大手の営業担当にこんな事を言われました。

「なんで今立ち上げたんですかぁ?今メンズ超厳しいっすよw」

「いやいや、それを我々が盛り上げていくんでしょ、というかあなた、そのテンションはどういう事なの!?」

と当時希望に燃えていた新人デザイナーはその発言と姿勢に激しく憤り、なんなら今だに根に持っている、訳ではないですがとにかく鮮明に記憶しています。
まぁ、そういった類の人は10年前でも10年先でもそんなような事を言うんだと思いますが、しかしながらリアルな状況としては悲しいかなそんな見方もあり、そうやって少しずつシュリンクしている産業、高齢化や次代の担い手がいないという問題を抱えている各工場は、ここ3年程の悪しき流行に決定打を打たれてしまい、「もう仕方がない、これを機に、、」と、廃業が相次ぎました。
そのような流れで「受け皿が足りていない」=「縫える工場が少ない」という事態が常態化してしまっている訳です。
そんな状況下でスムーズな生産など望むべくもなく、例年だと7月中頃には各ブランドAWスタート、というリズムだったところ、なかなかヨーイドンとならない、各社パラパラと立ち上がってはいくものの、よしAW!といった空気感が醸成できなかった。
これもまた極めて深刻な問題。
この要因二つ目に関しては、界隈にいる全ての人達が問題意識を持ち、真摯に向き合っていく必要がありますね。
うーん、、なかなかの高難易度ゲームをプレイしている気分です。攻略本欲しい笑

でもですね、伝えたいのはここからです。
完全に秋来ましたからね!
そしてprasthanaはAW23ラストデリバリーもUP済み、先日納品済みですから、それはもう完全にAW気分本番ですよ。
あと、くれぐれも言っておきたいのは上述した「活況とは言えないアパレルの現状」は、あくまでも俯瞰で広く視野を設定した話です。
こんな現状はメディアでも散々報じられていますので、もはや一般の方々も知るところかと思いますが、ことデザイナーズクロージングの領域、それこそ代替品が見つからない精度のクリエイティビティを発揮しているようなレーベルに関しては、全くその限りではないです。
我々が提案している衣服って、所謂「衣食住」=「生活必需品」とは一線を画す価値観のもとに成り立っていて、「趣味は音楽を聴くことです。」とか「趣味はキャンプです。」と同じように「趣味は洋服です。」という人達に向けて、その嗜好に訴えかけるものです。
衣服に関して、他人と同一化する事で安心するような思考の人にはそもそも推奨しないですが、僕のような人間には絶対に必要なものだし、文化として絶やしてはいけない、いや、絶えないものであるはずです。
実際、しんどい現状もあるにはありますが、しっかり地に足つけて踏ん張っていきたいものです。

既に新作が店頭に入荷してから数日経っていまして、この間にも顧客様を中心に動きが出ております、皆様いつもありがとうございます。
prasthana AW23ラストデリバリー、品番数は少ないですがざっと下記の通りです。

 

protection over coat gen2

 

 

 

 

padding single coat

 

 

 

padding scarf

 

 

 

詳細は該当商品ページをご参照頂ければと思いますが、重衣料がAWシーズンの真骨頂ですから、めっちゃ気合入ったプロダクト群ですよ。
素材の選定、各ディテール、最終的な製品としての着地点まで、一切妥協はありません、当たり前ですけど。
是非!ご覧下さい。

宜しくお願い致します。