inside of thought.#1 [prasthanaのこと_1]
prasthana co., ltd. 代表/デザイナーの武井です。
2020年末に旗艦店 prasthana sendagaya store をオープンしてからもう少しで3年が経とうとしています。
そのタイミングでECサイトをリニューアルしまして、このNEWSというコンテンツもそれから運用を始めました。
お読み下さっている方々からするとお馴染みの超不定期更新でやって来ましたので、3年という年月に対して各記事の内容は兎も角として、更新頻度の低さ故にまぁ記事数が少ないこと、、。怠惰はいかんですね、このままだとジョン・ドウが訪ねて来かねないので、ちょっとですね、一念発起して(大袈裟)、もう少しフォーカスする話題の範囲を広げ、inside of thought. (思考の内側) と題して色々と書いていってみようかと思っています。
背景としては、現状このNEWSのコンテンツ以外に僕が何かについて言及するような場は設けていないのですが、故にこの場で発信する内容(思考の方向だったり様々なこと)を面白がって下さる顧客様方も有難い事にいらっしゃる状況ではあるので、それであればと、モチベーションが上がった次第です。
そんな感じでやる気も新たに、#1の題材は取り敢えずこれですね、僕が手がけるブランド prasthana について。
設立は2015AWシーズンなので現在8年ランニングしていますが、考えてみれば意外と言及する機会が無く今に至るなと。
これまでの足跡を振り返ってみる、というのも良いかもしれませんが、それはまた次回以降に、という事でまずは今現在の prasthana の物作りのスタンスやフィロソフィーといった部分についてちょっと綴らせて頂きます。
ブランドコンセプトとしているワードとして
①【form,function&idea】
付随して
②【embody the style with a design that logically constructs the details.】
を掲げています。
まず①に関して、直訳すると【形態、機能、発想】です。
アメリカの建築家、ルイス・ヘンリー・サリヴァンのあまりにも有名な
【form follows function=形態は機能に従う】という言葉があります。
この哲学に根ざした創作物って、とても合理的で非の打ち所がない美しい物、というイメージ。
要素を削ぎ落としていく事を「less」ではなく「minimal」という領域にまで昇華する為の手段としてデザインが存在し、その仕事を成し遂げる事で成立する、言わば研ぎ澄まされたミニマルテクノのような世界観を僕は連想します。
で、僕はミニマルテクノも勿論好きなんですが、prasthanaとしての創作の軸はロックなんですよ。
比喩に比喩を重ねて恐れ入りますが、電子音楽と人が奏でる音楽の一番の違いはグルーブという概念の有無と考えていて、このグルーブが大事なのです。
端的に表現してしまえば、不完全さ(ズレ)ですね、それも極めて微妙な。
譜面に起こしても何ら変わらないレベルの微妙なちょっと早い or ちょっと遅い、というズレによって、前者だとパンク的な性急なビートに近付くし、後者だとおおらかなレイドバック感のある音像になる、このような事象を包括してグルーブと称し、有形無形を問わず人の手によって創造された物にしか存在し得ない要素として、僕は大事にしたいと考えています。
【form,function&idea】のideaの部分がこれに該当します。
整然と管理された合理的で美しい創作物、そういった物への憧憬はあれどその限りではない、言うなれば不調和や違和感。
そのような要素にもフォーカスして物作りを行う、そんなスタンスとフィロソフィーをこのワードに込めています。
そして②に関して、これもまず直訳すると
【細部を論理的に構築したデザインでスタイルを具現化する】となります。
これは文面の通りなのですが、まぁそういう事です。
デザインをする上で、例えば「こういうのが流行っているんでしょ?」とか「なんとなくこうしました」みたいな姿勢ではなく、あくまでも自分自身の尺度ではありますが、ディテールをひとつひとつ理論立てて組み上げて物作りをする、という事が大前提。
お客様が袖を通して鏡の前に立った時、「ここの縫製仕様がこうだからこういう風にシルエットが出て、尚且つこの生地当てがこうだから均整が整って見えて良いんだよね!」なんて分かる必要はないと思っています。(洋服好きが高じ過ぎた方は是非こちら側にいらして下さい、ではありますが。笑)
ただ「なんとなく良い!」それで十分です。
ですがその「なんとなく良い!」を実現するには、なんとなくデザインをしても駄目なんですね。
作り手のこちらとしては様々な要素を論理的に組み上げ、「このディテール故にこのような表現になる」といった確固たるロジックのもとにデザインをし衣服として形成する、その仕事を全う出来た時、着用頂く皆様の「なんとなく良い!」を達成する事が出来る、と考えています。
②の中の一節である「logically constructs=論理的構築」の部分が核心という事です。
ここ数シーズンのコレクションにおいて、「LC」という記号めいたタイトルを冠したプロダクトを断続的に発表していますが、これは「logically constructs」の頭文字を取った「LC」でして、、と、、そろそろ長くなってきましたので今回はこんなところにしておきます。
また次回、inside of thought.#2で「LC」についてフォーカスしてみようと思います。
長々書いてしまいました。
お読み頂いた方、誠にありがとうございます。
分野を問わず何にしてもそうだと思いますが、prasthana というブランドを運営している僕の思考の内側にも当然の如く上述したように様々な想いがある訳で、少しでも興味を持って下さった方に少しでも伝われば良いなと、こんな内容を発信してみる事にしました。
prasthana sendagaya store 実店舗は大抵の場合、ゆったりとした時間が流れている空間です。
洋服好き同士、色々お話し共有出来たら嬉しく思います。
お近くの方は遊びにいらして下さい。
それではまた次回。
GUIDI AW23入荷の目処も立ちましたのでその記事が先か、inside of thought.#2が先か、はたまた prasthana AW23 last deliveryの記事になるか、分かりませんが引き続きお付き合い頂けますと幸いです。
宜しくお願い致します。